Phrygian cap & Crown SHOP 雑記

ブログ更新苦手なショップ職人兼店長が、意気込んで最低でも週一で何か書くぞ!と始めたショップブログ。

タグ:鍛金

ウチじゃ、あんまりオーダーされる事のない様な品・・・

お題通りのエンゲージリング。

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リングケースが手縫いのヌメ革の外装と鹿革のクッション内装って所が、
ウチらしいっちゃぁー、ウチらしい。

18金のリングに、0.3カラット程の天然ダイヤがセットしてある。
直径で4mmオーバーくらいの大きさのダイヤモンド。

オーダーしてくれたのは、
ウチのせがれ(次男坊)。

最近、金は無いが、大人の男として、
責任感も自信もメキメキ付けてきた感はある。

そんなせがれが、今お付き合いしている、同い年のお嬢さんと結婚すると決めた。

そんなこんなで、婚約指輪の注文が入った訳だ。

しかしながら・・・
本人・・・あんまり金が無い。

そこで、親父である俺は、出来るだけ、お安く良いモノを提供できるように、
考えたのである。

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これは、亡き、俺のお袋の形見の18金のネックレス。
コイツ、デザインは古くてダサいが、20g以上もある結構なボリュームのネックレス。

コイツを潰して、
息子が勝ち取って来るであろう、
ウチに来る嫁に捧げる婚約指輪を作る事にした。

俺のお袋も、こういう形で使われるなら、きっと本望だと思う・・・


まずはこのチェーンを5g程度切ってバナーで熔かす。

それから、溶かした金塊をリングの細さにまで、ぶっ叩く。

こんな感じになる・・・

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それから、今度はダイヤをセットする石枠を作る為に、
少しだけ溶かした、小さな金塊をぶっ叩き、丸く切り出す。

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コレでリングのパーツは準備出来た。

それから、この丸い小さな円盤を、カップ状に形成して、
ヤスリで根気よく削って石枠の形にしていく。

こんな感じ・・・

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更に6つの爪を根気よく丁寧に整えて行く・・・

制作内容は随分はしょってるが、
いわゆる、鍛造による、18金リングの制作である。

通常、売られている、こう言ったジュエリーは、
殆ど、鋳造品(ロストワックス)で制作されてる。

手間暇かけた鍛金技法で、地金ぶっ叩いて制作するなんて、なんて贅沢な!
(とは言いつつ、ネックレス潰して作るんだから、この方法しかないのだけどね・・)

まぁ、こうして18金の地金代をお安く浮かせた事で、
そこそこの大きさの天然ダイヤが準備出来た訳だ。


先程の金の棒材をリング状に曲げ、
希望のサイズに合わせて、削り出した石枠とを、
18金ロウでロウ付けする。

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こんな感じ・・・

後はメインのダイヤを石枠に慎重にセットして・・・

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最後の仕上げ磨きまで丁寧に磨く・・・

リングが出来たら、リング内側に、18金刻印と、〇to〇ってイニシャル彫り込んで完成!

それっぽい、ケースが無いので、ヌメ革を手縫いで・・・

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まさか?!
婚約指輪が入ってるとは絶対誰も思わんだろうなぁ・・・


今回は、お袋の古いネックレスが息子の将来の嫁さんの指輪に化けた訳だ・・・
ジュエリーリフォームって事だな。

でも、こうして、形を変えながらも、
世代を超えて、大切な人間に受け継がれる事は、
死んだお袋も、喜んでくれてると思う。

作った俺が良かったと思ってるんだから、間違いない。


せがれに、「オラっ!カッコつけてこい!」って言って、出来上がったリングを渡した・・・
(先月の話だけどね・・・)

そうして、正に今日!
せがれは、背一杯の男前を発揮しながら、
プロポーズしてる事だろう・・・


フラれてなきゃいいのだけどね。(笑


























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早いもんです。
11月も終わろうとしてる・・・

俺は相変わらず、マイペースながら、仕事させてもらってます。

以前から何かしら自分のアクセサリー作りの幅と言うか、
アイデアと言うか・・・
何かしら見えないまま、模索してる毎日です。

仕事の合間、合間にやってるそんな毎日の様子を少し・・・


コインを使ってアクセサリーを作る事に拘ってるのは、
なんら変わってないのですが、
鍛金や彫金の技法を上手く使えないか?
そんな試験的な作業が続いてて。
一度、コインじゃなくて、ただの銀細工を作ってみようと思い立って、
これをやってみた。

コインの模様を潰さない様に・・だとか。
コインの大きさを考えて・・・だとか。

もうそんな事考えずに、何処までやれるか・・・みたいな・・・

んで、こんな感じ。

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ただの銀板です。厚みは1mm無い位。
日頃のアクセサリー作りで生まれる、銀の廃材を溶解して、ぶったたいて、薄く延ばして・・・

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んで、トンカチと当金って言う、道具を使って鍛金作業・・・
まずは叩いて絞っていく。
ひたすら叩いて叩いて・・・・

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頑張って叩くとここまで平面が絞れて丸くなる。
作業はまだまだこれから・・・

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絞りがあらかた終わったら、次はヤニの上で、タガネで形成していく・・・
ここら辺で、何作ってるか分かりますね・・・

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タガネ使って、次は彫金作業。
歯を彫ったり、頭のヒビの感じを彫ったり・・・・

こんな感じで、一枚の銀板から、しゃれこうべを作った。

出来上がった時点で、6cmくらいの頭になったので、こんなデカくちゃ、
アクセサリーにはならないと悟る・・・

こんなデカイの首から提げてたら、首狩族かヴードゥーの呪い師になってしまう。

そんで、オブジェにする事に・・・

その後、細かい手直し、細工を施して・・・


出来上がりがコレ。


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同じく銀板と銀線で細工して、鉄線(クレマチス)の花を作り、
しゃれこうべの左目から生やしてみた。

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何故、鉄線の花なのか?・・・

ただ、この花が、ずっと頭の中の引き出しにあって、
時々、思い出すから。

だからツル植物で、この花がきっと、しゃれこうべには似合うと思いついた。

何となく和のテイストも感じられるし・・・・


売り物になる訳でもないし、
アトリエに飾っておく事にする・・・

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koukoku
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だんだん寒くなって来ました。

年齢と共に寒さが堪える・・・


彫金と言うと、皆さん、どう言ったものを思い浮かべるでしょう?

「アクセサリーを作る事」みたいに思ってる人が多いかも・・・


本来は、読んで字のごとく、鏨(タガネ)で金属を彫るです。

金工と言って、昔から金属を加工する技術があるのだけど、

この金工、大きく分けて、3つの技法に分類できます。

一つは、彫金。
金属を彫ったり、切り抜いたりって感じ。

もう一つは、鋳金。
型に溶かした金属を流し込み、形作るって感じ。

更にもう一つは、鍛金。
金属を叩いて、延ばしたり、絞ったり、打ち出して立体的な造形を作るって感じ。


その他にも、技法はあるのですが、大きく分けてこの三つって感じです。

ハワイヤンジュエリーみたいな草花をリングに掘り込んだり、
ジッポライターに模様を掘り込んだりするのが彫金。

型を作って、3Dコピーみたいに同じものを作れるのが鋳金。
アクセサリーの製造方法としては、ロストワックス等、現在一番ポピュラーかもしれない。

銅板一枚からお皿やヤカンまで作ったり、
打ち出して帯止めなんか作ったりするのが鍛金。

ちなみに俺がアクセサリーを作ってる方法は、彫金と鍛金とその他って感じ。

残念ながら、うちのアトリエでは、鋳金は出来ないし道具も揃えてない。

でも出来ないと思うと、何とか違う技法で、
鋳金独特の細やかで立体的な造形がやれないか?
考えてしまう。

特にうちの場合、コインでアクセサリー作る事に何かしら拘ってたりするから、
逆にそれが縛りになって、己を苦しめてたりする。

ある方に言われた。

ドクロとかって作れますか?

彫金で模様を彫って、平面的なドクロは作ったりします。(ホーボーニッケルとか・・)

でも立体的なって言われると・・・

それで、鍛金技法を使って、いろいろ試行錯誤してます。
なんか・・ちょっと意地になってたりして・・・

まだ試行錯誤途中ですが・・・こんな感じ・・

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気付いた方は偉い。
これ、一枚の銀貨から、造形しています。

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随分、叩き延ばすので、コインの模様がうっすらとしか残りませんが、
まだ、コインで出来ていると判る範囲です。


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コインの模様を出来るだけ残しつつ作業していきます。
やたら手間が掛かる。

ここから更にリアリティーと細かい彫金をして行くつもり。

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裏から見た感じ。
コインのギザが残ってるから、どれだけ変形させてるかよく分かるかな?・・・


十代の頃からタガネとトンカチ握って、現在80歳みたいな、
日本の金工工芸の職人さんみたいには、到底出来ないけど、

俺なりのスタイルを少しづつでも長い時間を掛けてでも、確立していけたらと思う今日この頃・・・

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