ウチじゃ、あんまりオーダーされる事のない様な品・・・

お題通りのエンゲージリング。

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リングケースが手縫いのヌメ革の外装と鹿革のクッション内装って所が、
ウチらしいっちゃぁー、ウチらしい。

18金のリングに、0.3カラット程の天然ダイヤがセットしてある。
直径で4mmオーバーくらいの大きさのダイヤモンド。

オーダーしてくれたのは、
ウチのせがれ(次男坊)。

最近、金は無いが、大人の男として、
責任感も自信もメキメキ付けてきた感はある。

そんなせがれが、今お付き合いしている、同い年のお嬢さんと結婚すると決めた。

そんなこんなで、婚約指輪の注文が入った訳だ。

しかしながら・・・
本人・・・あんまり金が無い。

そこで、親父である俺は、出来るだけ、お安く良いモノを提供できるように、
考えたのである。

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これは、亡き、俺のお袋の形見の18金のネックレス。
コイツ、デザインは古くてダサいが、20g以上もある結構なボリュームのネックレス。

コイツを潰して、
息子が勝ち取って来るであろう、
ウチに来る嫁に捧げる婚約指輪を作る事にした。

俺のお袋も、こういう形で使われるなら、きっと本望だと思う・・・


まずはこのチェーンを5g程度切ってバナーで熔かす。

それから、溶かした金塊をリングの細さにまで、ぶっ叩く。

こんな感じになる・・・

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それから、今度はダイヤをセットする石枠を作る為に、
少しだけ溶かした、小さな金塊をぶっ叩き、丸く切り出す。

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コレでリングのパーツは準備出来た。

それから、この丸い小さな円盤を、カップ状に形成して、
ヤスリで根気よく削って石枠の形にしていく。

こんな感じ・・・

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更に6つの爪を根気よく丁寧に整えて行く・・・

制作内容は随分はしょってるが、
いわゆる、鍛造による、18金リングの制作である。

通常、売られている、こう言ったジュエリーは、
殆ど、鋳造品(ロストワックス)で制作されてる。

手間暇かけた鍛金技法で、地金ぶっ叩いて制作するなんて、なんて贅沢な!
(とは言いつつ、ネックレス潰して作るんだから、この方法しかないのだけどね・・)

まぁ、こうして18金の地金代をお安く浮かせた事で、
そこそこの大きさの天然ダイヤが準備出来た訳だ。


先程の金の棒材をリング状に曲げ、
希望のサイズに合わせて、削り出した石枠とを、
18金ロウでロウ付けする。

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こんな感じ・・・

後はメインのダイヤを石枠に慎重にセットして・・・

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最後の仕上げ磨きまで丁寧に磨く・・・

リングが出来たら、リング内側に、18金刻印と、〇to〇ってイニシャル彫り込んで完成!

それっぽい、ケースが無いので、ヌメ革を手縫いで・・・

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まさか?!
婚約指輪が入ってるとは絶対誰も思わんだろうなぁ・・・


今回は、お袋の古いネックレスが息子の将来の嫁さんの指輪に化けた訳だ・・・
ジュエリーリフォームって事だな。

でも、こうして、形を変えながらも、
世代を超えて、大切な人間に受け継がれる事は、
死んだお袋も、喜んでくれてると思う。

作った俺が良かったと思ってるんだから、間違いない。


せがれに、「オラっ!カッコつけてこい!」って言って、出来上がったリングを渡した・・・
(先月の話だけどね・・・)

そうして、正に今日!
せがれは、背一杯の男前を発揮しながら、
プロポーズしてる事だろう・・・


フラれてなきゃいいのだけどね。(笑