独り想う事ありて・・・

唯々、ここしばらく、勝手な想いの巡らしをしてしまう此の頃・・・

俺も50年生きて来て、自分の過去を振り返る事が度々ある。
決して何か深く後悔する訳でもない。
成るべくして、成って来た自分の、今、現在が在ると理解も納得もしている。
不満ばかりを抱えて生きてる訳でもない。
足りてないモノも多いが、満たされ、恵まれてると感じる事も多い。

ある友人が言った・・・

「あの時、あの頃・・いわゆる過去に戻れたら・・・」

反論する意味は無いが、俺が遮るように言う・・・

「その時に戻れたとして、その時の判断は、きっとその時の自分が善いと思い、
下した選択なのだろうから、きっと何も変えられず、現在に向かって、繰り返すだけだと思う・・」 と・・・

続けて俺が言う・・・

「過去に戻ってなんて思うよりも、俺なら生まれ変われる、あの世のシステムみたいなモノがあるなら・・
この世を去った後にそんな選択できるシステムがあるなら・・・全く新しい別の人生を振り出しから始めたい・・」

「もしくは、魂のまま、現世に残した大切なモノを守護する者になりたい」 と・・・

いい年こいた、オッサンら二人のコーヒーを飲みながら交わす、
くだらないファンタジーである・・・
無駄な時間に等しいのだろうなぁ(笑)


人の人生は短いと、この年になって思う様になってる。
若い頃には思いもしなかった認識。


50年以上一つの物に拘り続け、その物を作り続けた職人を知っている。

半世紀以上、その物に執着し、拘り続けたその思いって・・・何だったのだろう・・・

その職人は、その執着し、拘り続けた物作りに対して、
悔しい思いを残してこの世を去ったのではないか?と聞いた・・・

仮に100年人が生きるとして、その内の50年を費やしたモノ事に対して、
悔しさを残さねばならなかったのって・・・

人の事を勝手に俺が想像を巡らせるのはどうか?とも思ってる・・
でも、今の俺、これからの俺を、
うっすら重ねてしまうのは何故なんだろうか?・・・

物を作って売る仕事をしてる以上、誰かがその作品を評価して買ってくれなければ成立しない。

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長く続けていればそれなりに、人にその物、それを作っている自分を認知しても貰えるだろう。

でも、作りたい物と売れる物の間に明らかなギャップが生まれたり、
手間を惜しまず苦労して作った作品が、評価され求められるとも限らない。

自分の努力やセンス、才能の上での悔しさなら、自分で解決すべく努力も続けられる。
でも、それが、関わらざるを得ない他者や社会、自分以外の誰かが決めたルール等によって、
疎外されてたり、信じる方向性を潰されていたりしたなら・・・

否、自分の道を塞ぐ物が他者や社会の所為にしてるだけなのかも知れない。
でも、そう思わざるを得ない、思い込んでしまう状況に置かれたら・・・

人は執着や拘りを持ってしまう生き物だ。
その執着や拘りは、あくまで自分のモノであり、
他者に理解を得よう等と努々思ってはいけないモノなのだ・・・

そして、その執着や拘り、他者からの評価や他者への期待なんかに囚われると、
息苦しくなって来る事は、皆、分かっているのだと思う・・・

それでもそう言った物に囚われて、皆、息苦しく生きている。

それが他の動物と違う、人間なんだろうなぁ・・・


もう・・何がなんだか良く分からん内容の記事になってしまってるなぁ・・・

自分でも上手く心の中で答えが導き出せてないのだから、
致し方ない・・・
答え自体、求めてないのかも知れない事なのだけど・・・


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出来れば・・・この世を去る時くらい・・・
この世で関わった、人、モノ、事に感謝して、
穏やかな気持ちで、次に向かいたいと願う・・・

ちなみに、前出の職人さん・・・俺が若い頃、お会いした事はあるものの、
人となりは、余り存じ上げていないので、分からないが、
少なくとも、その人がこの世に残した作品は、
俺にとっては驚嘆に値するモノばかり・・・
一流品と言って間違いない。

残した悔しさは自分に向けたモノだったのだろうか?
外に向けたモノだったのだろうか?

俺には唯々、勝手な想像を巡らす他ない・・・


ある日の昼間・・・
真瑠の散歩に梅雨空の下、いつもの近所の公園・・・・

公園の東屋の下のテーブルに、そっと置いてあった作品・・・


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子供らが、ままごとの中で作った物なのか?・・・

それとも、誰かが、空き缶を捨てるのが面倒で、
そこら辺の草花を適当に生けたのか・・・

作者の意図も知らず、無意識に自然と、
その目の前の状況の背景にあるストーリーを想像してる・・・

作者自身、何も意図するものは、無いのかも知れないのだけどね・・・

ただ、この作品にホッと息をつく自分が居る。

空き缶はくずかごに!なんて無粋な事は言わない。

梅雨空の下、俺以外の誰かがまた、これを見てホッとするかもしれないから、
そのまま置いてきた。

拘りも執着も感じられない、
意図するものが何も感じられない作品。

でも・・・誰かさんの心には留まった・・・
少なくとも俺の心には。


深夜・・・独り言の多い職人の独り言・・・