今夜は、近々結婚する予定の、俺の古い友が、
アトリエに嫁さんとなる女性を連れて来ていた。

目的は、結婚指輪を作るため。

二人が結婚すると言う知らせを、聞かせてもらった少し後くらいに、
指輪をお願いしたいと相談を受けていた。

まぁ、普通にご注文有難うございます!で良かったのかもしれないが、

俺からの第一声は、

「アトリエに来て、二人で自分達の指輪を自分たちで作ったら?」

だった。

俺が作ると高くつくから、自分らでやれって事。

材料も道具も、ノウハウも全部面倒みるからやってみな、
きっとこれも思い出深いモノになるからってね・・・。

決して、うちはワークショップなんかしてないし、
俺の単なる思い付きからだったが、

なんだか、二人ともその提案に乗り気になって、
今日の運びとなった。

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背を向けたまま、無言で作業に取り組む様子・・・

背を向けてるのは決して喧嘩してる訳ではない。
アトリエが狭いのでどうしてもこういうポジションになる・・・

今回の制作はロストワックスによる鋳造で制作する事を二人が選択し、
初めてのワックスモデリングに取り組んでもらった。

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無駄にデカい手で、不器用に作業を進める友。

薬指のリングサイズが26号だの27号・・・俺の親指よりデカいじゃねぇか・・・

でも、真剣そのもの・・・

鋳造する金属は、プラチナ900・・・
結婚指輪なら一般的な貴金属だけど・・・

彼らが作ってるのは、幅は1cm弱、厚みは1mm・・・

普通に結婚指輪として注文したら、ありえない金額が予想されるスペック・・・


初めての結婚・・・

初めてのジュエリー制作・・・

疲労もピークを迎えた作業8時間・・・

やっと、二人にとっては納得のリングが出来上がった・・・

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二人の透かし彫りのイニシャルの間に浮彫の双葉のシンボル・・・
大男が着けると思えないくらいに可愛らしいリングが出来た。

スペックは明らかに男性ジュエリー的なゴツさがあるけど、
出来栄えは、さて置き、幸せ感が漂うリングだと思う。

結構、ヤジを交えながら、口はいっぱい出したけど、
基本的に俺は手は出さず、二人で作り上げた。

後は入籍までに俺がプラチナで鋳造するだけ。

友は疲労で、ヘロヘロになりながら帰って行った。

指輪、楽しみに待ってろよ。

お二人とも、お疲れさま・・・