なかなか大きなサイズのモノは少ない上に、
透明度の高い、綺麗な結晶のモノがホントに手に入り難い。
宝石でもないのに、価格も結構高い。
それがこの石・・・
ルビーよりも遥かに血の色に近い赤い石。
古来より、丹と呼ばれ、世界中で珍重された石。
西洋では錬金術に・・・東洋では道教から派生した煉丹術に用いられ、
不老不死の丹薬を作り出す材料とされた。
「賢者の石」なんて呼ばれてたりする。
ハリーポッターの賢者の石(ハリーのポケットに現れた赤い石)のモデルもこれじゃなかろうか?
この鉱石の正体は、硫化水銀。(辰砂、朱砂等と呼ばれる)
簡単に言えば、硫黄と水銀の合わさった鉱物。
日本でも昔から貴重なものとし、この鉱物から水銀を取り出し、
金と合わせて水銀アマルガム鍍金(金メッキ)を施した。
奈良の大仏なんかの塗金がそう。
空海はこの丹で丹薬を作り、飲んでいたと言われるし、中国の皇帝らも、
この丹を不老不死の薬と信じ飲んでいた。
空海、縁の地である和歌山、高野山、四国霊場、これらの場所には、
日本の中央構造線(大断層)が走り、水銀鉱脈も多く、
空海と水銀鉱脈には、深い繋がりがあったと考えられている。
昔から不老不死は時の権力者達の永遠の夢だったのだろう。
でも、鉱毒となる水銀を食ってたなんて・・・
不老不死を求めて短命に走ったんだな・・・
今回手に入れたこの辰砂は、大きさも十分であり、
透明度も申し分ない結晶で、
早速、研磨してみた。
どう?
めちゃめちゃ怪しくない?
血の味がしそうなサクマドロップみたいでしょ?
水銀だから毒って言うイメージなんだけど、
実はこの自然界にある硫化水銀(辰砂)は殆ど毒性がない。
勿論、熱を加えて、水銀を蒸発気化させると、やばいらしいのだけど、
この石っころの状態なら、毒性は低いのだ。
これをアクセサリーの石として使おうと思う。
ただ、この石、硬度が非常に低い。
モース硬度で2~3程度(ちなみにダイヤモンドは10、ターコイズで6くらい)
ぶっつけ、落下は勿論、製作段階での石留めでさえ絶えられない弱さ。
取り合えず、商品化するのは難しいって事です。
でも・・・
魅力無いですか?
時の権力者達が愛した、賢者の石。
俺は凄く魅かれたんだけど・・・